空中昆虫捕獲用トラップ:FIT
フライト・インターセプト・トラップ
ピットフォールトラップは簡単かつ効果的な採集トラップですが、飛んで移動するタイプの昆虫は採集できません。
次は飛翔性の昆虫を捕らえるトラップを作ってみましょう。
飛翔性の昆虫を捕らえるトラップには、チョウやガを相手にしたバタフライトラップ、ハエやハチ相手のマレーゼトラップなどがあります。
そうした飛行性昆虫相手のトラップの一つ、フライト・インターセプト・トラップ(FIT)は、ハネカクシやゾウムシ、コメツキムシといったミニサイズの昆虫を捕らえるのに適しています。
FITの仕組み
FITは虫の通り道を塞ぐ透明な板(インターセプター)、インターセプターを支える枠、昆虫をキャッチする受け皿で構成されます。
飛んでいる虫は物に衝突すると、下にポトリと落ちる習性があります。
この習性を利用し、昆虫が飛ぶ経路に透明な板を立て、衝突して落ちた虫を板の下に置いた受け皿で回収するのがFITです。
大掛かりな物は薄い布を使ったり、ガラス板を使ったりしますが、今回は簡単なクリアファイルと木枠で作ります。
小さな昆虫なら飛ぶ高さも低いので、大掛かりな仕掛けは無くても大丈夫です。
用意する物
・A3のクリアファイル ・結束バンド ・穴あけパンチ
・針金、あるいは細めの棒
・果物パック×3つ
1. インターセプターを作る
A3のクリアフォルダーを接着面に沿って切り開き、一枚のフィルムにします。
側面と上面の端に沿って、パンチか千枚通しで、等間隔に4~5個の穴を開けます。
2.木枠を作る
インターセプターを支えるための枠を作ります。
60cmの横木を1本、45cmの縦木を2本用意します。
飯盒炊飯で飯盒を吊るすときのように、3本の棒を鳥居型に組み合わせ、テープやひもで固定します。
3.インターセプターを付ける
インターセプターの端にあけた穴に、それぞれ結束バンドを通し、木枠に通して縛っていきます。
インターセプターがなるべくぴんと張るように、バンドの締め具合を調節します。
これで完成です。
4.受け皿の準備
FITでは落とした虫を水が入った皿で受け止めて溺死させます。
単に水を入れただけでは簡単に溺れてくれず、脱出される恐れがあるので、速やかに殺せるように工夫が必要です。
果物パックに入れる水には、水500mlに対して、洗剤を2mlの割合で混ぜます。
洗剤は水の表面張力を弱めて、物が水面に浮きにくくします。
洗剤が入った水の上では、アメンボさえも浮けずに沈んでしまうほどです。
この水に酢酸(お酢の酸)を加えることで、虫を確実に殺し、なおかつ死体の腐敗を防ぐ方法もあります。
あのつんとした臭いは、一部の虫を引き寄せる効果もあるようです。
薬局には30%の溶液が売っているので、それを10倍に薄めれば良い濃度になります。
簡単な方法
フォルダを開かずに袋状態にしたまま、立てた支柱にかぶせるようにしてセットする方法もあります。
サイズが半分になりますが、工作は何もしなくても大丈夫になりますし、
設置方法
基本的には、虫が通りそうなポイントを邪魔するように立てて、下の台に水を入れたパックを置くだけです。
草原や雑木林がねらい目ですが、草や木がうっそうと茂っている場所よりは、開けた場所との境目に当たる所や、下草が無くて風の通りが良い所などの方が良いとされています。
仕掛けて1日たったら回収し、パックに浮いている虫を観察してみましょう。
このトラップで捕まえられる虫が最もよく活動するのは、春先から夏の盛りにかけてです。
仕掛けるならこのシーズンが最も確実です。