地上昆虫用の罠:ピットフォールトラップ

地上を歩く昆虫を捕らえるための罠

ピットフォールトラップ

地上の昆虫を捕まえるときの罠としてポピュラーな物が「落とし穴」です。
原理は簡単で、中にエサになる物を入れた入れ物を埋めて置き、寄ってきた昆虫が落ちて出られなくなるという物です。
英語風に「ピットフォールトラップ(Pitfall Trap)」とも呼ばれます。

地上を歩く昆虫には、獰猛な捕食者のオサムシ、ハサミムシ、ハンミョウの仲間など、カブトムシやクワガタムシに負けないほどワイルドな昆虫が多数います。
昆虫以外にも、徘徊性(網を張らずに歩き回る)のクモ、ムカデ、ヤスデ、ダンゴムシなど、無数の生物がいます。

地上を歩く昆虫は空を飛ぶ虫と違って逃げ足が遅いので、鳥などに見つかるのを避けるため、多くは夜中に活動する夜行性です。
落ち葉の下に隠れて見つかりにくい物も多いので、トラップが最も効率的な採集方法です。

用意する物

・紙コップあるいはプラスチックコップ
・ペットボトル
・コーヒーフレッシュのカップ あるいはペットボトルのふた
・竹串

1.ピットフォールトラップ1号

ピットフォールトラップ1号

コップの縁から1cm程度下の場所に、穴を開けます。
コーヒーフレッシュのカップにも、同様に穴を開けましょう。

コップ内部を横断するように竹串を通し、カップを宙吊りにして固定します。
ペットボトルのふたの場合は、ドリルで側面部に穴をあけて串を通しましょう。
手で持ってやろうとすると滑って怪我をする危険があるので、プライヤーなどで固定して穴を空けます。

ここにエサを入れて昆虫をおびき寄せ、カップの中に落とす仕組みです。
カップを糸や針金でつりさげる方法もあります。

紙コップよりもプラスチックコップの方が、中がつるつるして登りにくいので、より捕まえやすくなります。
また、より大きく深いコップなら、大きな虫を捕まえることができる上、脱出されにくくなります。

この他、塩ビ管をコップの縁に装着し、深さを割り増しする方法もあります。

ピットフォールトラップ2号

ピットフォールトラップ2号

ペットボトルの首からやや下の部分を切り落とし、コップの時と同じように竹串を渡してコーヒーフレッシュのカップを乗せます。
ペットボトルは底が深い上に、中が紙コップよりもさらにつるつるしているので、非常に這い上がりにくくなっています。

さらに、内部がオーバーハングしている(上が張り出している)ことで脱出は困難になります。
普通のペットボトルでは底が深く、埋めたり中の虫を出したりしにくいので、250mlのミニボトルを使いましょう。

ピットフォールトラップ2号改

 ピットフォールトラップ2号改

更に脱出が困難にトラップも作れます。
まず、ペットボトルの上部を切断し、「じょうご」のようなパーツを作ります。
口の部分は昆虫が通るサイズに合わせ、少し広めに切り取っておきましょう。

切り口にはビニールテープを貼りつけ、セットしやすくしておきます。
じょうごのパーツに竹串を通してカップを乗せ、反対向きにしてボトル本体にセットします。
カップが出来たら、逆さにして元の部分にはめ込めば完成です。

寄せられてきた昆虫はじょうごのような部分を滑り落ち、ボトルに入り込みます。
こうなれば、飛べる虫でも脱出はほぼ不可能になります。

トラップに使用するエサ

夜間に活動する昆虫の多くは、空気中に漂う分子――つまりは臭いを触覚で感知してエサを探します。
よって、使用するエサは臭いが強い物が最適です。

甘い系のエサ

昆虫は甘いものが大好きですが、砂糖そのものよりも、砂糖が発酵してできるアルコールの臭いの方に強く引き寄せられます。
果物が熟した時にはアルコールの臭いが生じるので、虫にとってはそちらの方がおいしく感じられるようです。

ビールや日本酒など、アルコールの臭いがはっきりするお酒をカップに入れてみましょう。
みりんは「高アルコール+糖分」で引き寄せ効果が高めです。
バナナにウイスキーや焼酎をかけて急速に熟成させた「バナナトラップ」は強烈な臭いを発するので、非常に効果があります。

肉系の臭い

オサムシやハンミョウなどの肉食性昆虫をおびき寄せる餌としては、臭いが強い魚の肉が適しています。
煮干し、鰹節、魚肉ソーセージなどがお勧めです。
細かくほぐしておけば、臭いが広がりやすくなります。

基本的にはカップの中にエサを入れますが、罠の中に直接入れても構いません。
ただし、落ちた虫の体が汚れやすくなることは覚えておきましょう。

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