偏光フィルター:人間が偏光を見る道具

偏光フィルターとは

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一般的な哺乳類の目は偏光の向き知る機能を持っていませんが、偏光フィルターと呼ばれる道具を使えば特定の偏光だけを見ることが可能になります。。
偏光フィルターとは特定の方向に振動する波だけを通過させる特殊なフィルターです。

機能を聞くとすごそうに思えますが、素材も作り方も比較的単純なので、安い物なら10枚セットで200円以内で手に入ります。

偏光フィルターの仕組み

引き伸ばし

このフィルターは、ポリビニルアルコールのようなプラスチックの膜を、一方向に強く引っ張ることで作られています。
出来たフィルターは、分子が一方向にだけ並んだ構造になります。
ちょうど、ナノサイズの「すだれ」や、ブラインドのような物です。

偏光フィルター

光がこのフィルターに当たると、並んだ分子と並行な角度に振動する光は分子に吸収されて遮断されます。
対して、分子の並びに直角な振動を持つ偏光だけがフィルターを通り抜けて見えるようになります。

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角度を変えれば、目に届く偏光の種類を自由に調節することが出来ます。
二枚のフィルターの分子の向きが直角に交わるように重ねると、すべての光が遮断されるので、真っ暗へと変じます。

偏光の反射

光がガラスやセロハンテープなどを通過するときも、特定の偏光だけが通り抜ける現象が起こります。
これを利用して、ガラスに反射した光だけを偏光フィルターで遮断し、ガラスの向こうにある物をクリアに見るという使い方もあります。。

偏光フィルターの使い道:反射光を消す

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偏光フィルターは、カメラのレンズに装着する機材としてよく使われています。
水面やガラスの反射による写り込み除去できるため、水中の生き物や、ショーケース内の展示物をきれいに撮影することが出来ます。

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液体の水ばかりでなく、空気中の水蒸気による反射も除去できるので、青空や木の緑、建物などのコントラストのを強調して鮮やかにする効果もあります。
大気中の水滴に光が反射して生じる現象である虹も、はっきり写しこんだり、逆に消したりすることが出来ます。

偏光フィルターの使い道:3D眼鏡

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映画館などで使われる3D映像でも、偏光フィルターかけた眼鏡で見る物があります。
人間の目は物を見たときに、同じ物を見ても左右の目で見ている物の距離や角度が微妙に違います。

この差は「視差(両眼視差)」と呼ばれ、脳が視差の情報を処理することで物が立体的に見えるようになっています。

立体視

3D眼鏡は左右で方向を変えた偏光フィルターが貼られています。
スクリーンに、それぞれのフィルターでだけ見える偏光で像を映すと、左右の目で見える物が異なります。

撮影の際に2つのレンズを持つカメラで撮影し、それぞれの映像を偏光にしてスクリーンに映せば、3D眼鏡をかけた人は、カメラで撮影した時のままの立体的な物を見ることができるようになるという仕組みです。

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