ケプラー式屈折望遠鏡を作ろう

意外と簡単な望遠鏡づくり

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良い望遠鏡を買うとそれなりの値段がするように、高精度な望遠鏡を作ろうと思えば非常に高度な技術が必要になります。
レンズの形状や素材、表面コーティングなどを利用し、どんな距離、条件でも像がにじまずにきれいな像を見れるように、緻密な計算と技術に基づいた設計が行われています。

しかし、良い望遠鏡を作るためには高度な技術がいるというだけで、どんなものでもいいならば、かなり簡単に作ることが出来ます。
コンパクトな屈折望遠鏡なら、せいぜい500円未満で、長くとも2時間以内に作成可能です。

屈折望遠鏡にはガリレオ式とケプラー式がありますが、凹レンズは意外と手に入りにくいので、二つの凸レンズで作るケプラー式を作ってみましょう。
見える像は逆さになりますが、なかなか広い視界でくっきり見ることが出来ます。

用意する物

・虫眼鏡(倍率4倍以上)×1個 ・老眼鏡(度数+1.50)×1個
・四つ切画用紙×2枚以上 ・紙コップ×2個
・接着剤 ・カッターナイフ ・定規
・セロハンテープ ・コンパス

老眼鏡と虫眼鏡は100円ショップで購入できる物です。
必要なのはレンズの部分だけなので、フレームや取っ手といった、余計な付属品が取り外しやすい物を選びましょう。
レンズが大きく、形が円形に近い方が便利です。

画用紙は望遠鏡の筒を作る部分の材料です。
黒色なら余計な光を遮断できるので像が見やすくなりますが、白色でも基本的な性能は変わりません。
強度の関係から、なるべく頑丈な紙を選びましょう。

1.レンズの焦点距離を測る

凸レンズ焦点距離

まずはレンズの機能を測定します。
レンズを通った光が1か所に集まる距離(焦点距離)が、望遠鏡の長さを決定します。
レンズを水平にして持ち真上から光を当てます。
床に集まる光が最も小さくなった時の、床とレンズの距離が焦点距離です。

屋外でやるときは、太陽が真上に来る昼頃にやると正確に測ることが出来ます。
ただし、下に燃える物を敷くと熱で発火する恐れがあるので、気を付けましょう。

2.接眼レンズユニットを製作

 レンズユニット

虫眼鏡の余計な部品を外し、なるべくコンパクトな状態にします。
完全にレンズだけにしなくても、部品が邪魔にならない程度なら大丈夫です。

工作用紙を図のような形に切り、中心部分にコンパスで円を描いて切り抜きます。
円は虫眼鏡のレンズよりもわずかに小さいぐらいです。
出来た部品を升のような形に折り、テープと接着剤で固定します。

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升の内側に虫眼鏡のレンズを押し付け、接着剤をレンズの縁に付けて穴に固定します。
このとき、接着剤をレンズの中ほどに付けて汚さないように気を付けましょう。

3.対物レンズユニットを製作

接眼ユニットと同様の物を、老眼鏡のレンズを使って作ります。
視界と光の確保のため、穴はレンズを押し当てたときに隙間が出来あないぎりぎりの大きさまで広くしておきます。

4.望遠鏡の本体部分を作る

望遠鏡の本体部分は、二つの四角柱で作ります。
横幅は5.5cmずつで、縦の長さは二つのレンズの焦点距離を合わせた物よりも少し長いぐらいにしましょう。
このとき、片方は2mmずつ横の寸法を短くして、もう片方に差し込めるようにしておきます。

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これらを折って四角柱の形にして、テープやホッチキスで固定します。
出来たら、太い方の筒に細い方を差し込み、一本の筒にします。

5.組み立て

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太い側の端に対物レンズユニットを差し込みます。
細い側には接眼レンズユニットです。
これで完成です。
違うレンズを使ったユニットをいくつか用意しておけば、望遠鏡の倍率を変えて使うことが出来るようになります。

使い方

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望遠鏡を展開し、見たいものに向けて接眼レンズを覗きます。
筒をスライドさせて、レンズ間の距離を変えてピントを合わせましょう。
ピントが合えば、逆さになった像を見ることが出来ます。

ケプラー式屈折望遠鏡の倍率は、「(対物レンズの焦点距離)÷(接眼レンズの焦点距離)」です。
対物レンズの老眼鏡の度をきつい物に変えれば、焦点距離が短くなるので望遠鏡をコンパクトにできますが、倍率は低くなります。

倍率を高くしたいときは、接眼レンズ(虫眼鏡)の倍率を高い物に変えてみましょう。

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