ミニ雷電源:圧電素子を取り出そう

圧電素子とは?

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圧電素子とは電子部品の一種で、加えられた力を電圧に変換する(圧電効果)、あるいは、電圧を加えると力を発生させる(逆圧電効果)機能を持っています。
単純に言えば、振動が加わったり叩かれたりすると電気を生む、あるいは電気を加えると振動する機能を持つということです。

圧電素子が使われている場所

iPodのイヤホンにも圧電素子が使われており、電気を振動(音)に変えています。
また、マイクやエレキギターでは、圧電素子が音の振動を電気信号へと変換しています。
それ以外にも、テレビやラジオの受信機、インクジェットプリンター、車のショックアブソーバー、超音波モーターなど、非常に広い範囲で利用されています。

点火装置

身近にある圧電素子の中でも簡単なものが、点火装置に使われています。
100円ライターやチャッカマン、ガスコンロなどは、圧電素子から発せられる放電によってガスに着火する仕組みです。

カセット式のガスコンロ、ライターやチャッカマンを点火する時に出る音は、圧電素子に衝撃を加えて高電圧を発生させている音です。
何回使ってもなくなることはなく、どんな条件でも十分な電流を起こせます。
おまけに仕組みも簡単で、値段も安いと、いい所づくめです。

圧電素子を手に入れよう

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今回の実験では雷を発生させる電源として、この圧電素子を利用します。
圧電素子を手に入れるために、チャッカマンか100円ライターを入手しましょう。
ライターの場合は火打石式の物ではなく、電子式のタイプです。

チャッカマンかライターを手に入れたら、分解して中の圧電素子を取り出します。
ガスが切れた古い物なら安全で経済的ですが、なければ新品を買いましょう。
本来なら分解・改造はしてはいけないのですが、手順さえ守れば道具無しでも安全にできます。

取り出し方

チャッカマンの場合は、ノズルや底部にある留め具をボールペンの先で突くなどして解除し、握りの部分とノズルを引き抜きます。
胴体部分を左右に分けると、中に圧電素子が入っています。
ライターの場合は、着火ボタンを引き抜き、下にある圧電素子を取り外します。

圧電素子の種類

ライターやチャッカマンに使われている圧電素子は、大抵1か2のどちらかです。
基本的に1のタイプが小型の物、2のタイプがやや大型の物に使われています。
どちらも原理は同じですが、2ならコードが出ていて実験に使いやすいので、こちらを手に入れましょう。

構造

圧電素子は、図で見るとこのような構造をしています。
ボタンを押すとバネが圧縮され、下部にある素子に打撃が加わります。
発生した電気は、電池と同じように電極から発せられます。
こんな小さな部品ですが、発せられる電圧は数千~1万ボルトもあります。

稲妻の出口を確認しておこう

ライターの圧電素子は下と側面に電極がおり、プラスとマイナスがあります。
稲妻を実験するうえで重要なので、どちら側から稲妻が発せられるかを検証してみましょう。

指先放電

実験の際には、電流が余計な所に行かないようにゴム手袋を使うと楽になります。
まずはゴム手袋をはめていない方の手で圧電素子を持ち、スイッチを押します。
手に衝撃が走りますが、漏電したのか直接電流が流れたのかは判別がつきにくい物です。

次にゴム手袋をはめて本体を持ち、素手の方で電極の先端部をつまみます。
スイッチを入れてみて、はっきりさっきよりもショックが大きければ、電子が飛び出す側(つまりマイナス極)はこちらです。

5mmほど指を離すと、電極と皮膚の間に小さな稲妻がほとばしるのが見えます。
電気が流れなければ、下の方がマイナスです。

紙の上で稲妻を走らせてみる

鉛筆放電

雷を再現する前に、しっかりと放電が見えるかどうかを確かめてみましょう。
まずは適当な紙を用意して、鉛筆(あるいはシャープペン)で短い線を描きます。
鉛筆の黒炭は電気を通すので、この上を稲妻が走ります。
できればBや2Bの鉛筆を使い、なるべく濃く掻きましょう。

線の端に指を乗せ、反対側に圧電素子のマイナス極側を付けます。
電流が他所に逃げてしまわないように、紙の下には電気を通さない物をしいて、圧電素子を操作する方の手にゴム手袋をはめておけばやりやすくなります。
スイッチを押すと、稲妻が線にそってほとばしります。

稲妻がほとばしる仕組み

通電

人間の体が電気を通すように、地面は土でもコンクリートでも電気を通します。
この効果を利用し、危険な電流を地面へと逃がすためにセットされる線は「アース線」と呼ばれます。
避雷針はまさにこの原理で、雷を安全に地面に流す工夫です。

電子レンジや冷蔵庫などの大電流を使う家電製品も、アース線をつけて人が感電しないように工夫されています。
圧電素子の電極から出た電流は、体を通って床や地面に向かいます。
プラス極側とつながっていなくても、線が地面につながっていれば電流が流れるのです。

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