ミニ自動放水装置「ヘロンの噴水」

2000年前の発明品

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大気圧は固体だけでなく、水などの液体の表面にもかかっています。
はるか昔から人類はこのことに気付いており、いろいろなことに応用してきました。

大気圧を利用した一番身近な道具はストローです。
ストローで物を飲むときは、口で「空気」を吸いあげて口の中の圧力を下げます。
すると、飲み物の表面にかかっている大気圧が、より気圧が低い場所、すなわち口の中へと飲み物が押し上げる原理です。

スポイトや手押しポンプも、口の代わりに袋やピストン内部の圧力を下げ、大気圧で水を上に押し上げる仕組みです。

こうした大気圧を利用した発明品に「ヘロンの噴水」という物があります。
これは西暦1世紀ごろのアレクサンドリアにいたヘロン(ヘーローン)という科学者によって開発されました。
ポンプなどを使わず、空気圧と重力だけで、水を噴出させる道具です。

仕組み

ヘロンの噴水は、密封された容器1と容器2、水が噴き出す皿の三つから構成されています。

ヘロン1

三つの構成部品は、それぞれが水を通す管で接続され、容器1→容器2→皿→容器という形で巡回しています。

装置を使う前に、まずは容器2に水を溜めておきます。
容器1は空です。

ヘロン2

皿に水を注ぐと、チューブを通って水が容器1に入り込み、中の空気を押し出します。

ヘロン3

押し出された空気は管を伝って容器2へと入り、容器2内部の空気圧を上昇させます。

ヘロン4

空気圧が増えることで容器2の水が管へと押し上げられ、上に噴き出します。
下に落ちる水の力で、空気を圧縮してポンプのように水を噴出させる仕組みです。

容器1が満タンになるか、容器2の水がなくなるかすると、水は出なくなります。

用意する物

・ペットボトル×2本以上 ・プラスチック皿か紙皿×1枚
・ストロー×4本以上 ・透明なチューブ(ストローと同程度の太さ)
・ビニールテープ、・瞬間接着剤 ・カッターナイフ
・ハサミ ・錐(又は千枚通し)

ヘロンの噴水に使う容器は、空気が逃げないように密閉できる物でなくてはいけません。
ペットボトルは密閉ができる上に加工が簡単で、蓋もついていることから、非常に適した素材です。
皿はどのような形状でも構いませんが、深めで頑丈な物がお勧めです。

ヘロン設計図

最終的な完成図は上のような形になります。
容器1と2作るペットボトルを、それぞれペットボトル1と2と書きます。

1.穴をあける

ペットボトル2の上部に近いところに、穴を一つ開けます。
穴はストローがぎりぎりに通るぐらいにしましょう。
カッターナイフで十字型の切り込みを入れてもOKです。

2のふたにも穴を開けます。
こちらはドリルを使用した方が良いでしょう。
手を滑らせると危ないので、ペットボトルにはめた状態で、しっかりと保持して穴を開けましょう。

1のボトルは、上部に近いところと、下部に近いところにそれぞれ穴を開けます。
互いの穴の向きは反対にしましょう。

穴をあけ終わったら、ペットボトル同士を接続します。
間にペットボトルの頭と底を切り取った物をスペーサーとして入れ、口を反対向きにする形で接続し、ガムテープで固定します。
このとき、1の底近くに空けた穴と、2の頭近くに空けた穴が同じ向きになるようにします。

2.ストローを切る

ボトルを繋ぐストローをそれぞれ切っていきます。
図から見て、それぞれA、B、Cとします。

A:ペットボトルのふたを少し突き出て、底に少し届かないぐらい
B:皿から容器1の下の穴まで(届かなければストローを繋いで延長する)
C:容器1の上の穴から、容器2の上の穴まで(こちらも届かなければ延長する)

3.組み立てる

P8140041

ストローとペットボトルを、図の形になるように組み立てます。

P8140043

皿は真ん中に穴をあけて、ペットボトル2の頭が突き出るようにして、水漏れしないように接着剤で固定します。
下の部分は、転ばないように皿や紙コップの底を抜いて差し込み、足にしておきます。

P8140044

ストローとペットボトルのつなぎ目は、空気が入らないように接着剤でしっかりと固めてましょう。
全体が接続できれば完成です。

使い方

ペットボトル2の中に水を入れておきます。
水を入れたら、両方のペットボトルのふたをしっかり締めましょう。
皿に水を注ぎこむと、ペットボトル2の水が空気に押されて吹き出てきます。

ペットボトル1が満タンになると、いくら水を入れても出てこなくなります。
ペットボトル1のふたを開けて水を排出し、元のようにすればまた水が出てきます。

改良の方法

この装置では、水が落ちる力によって空気に圧力をかけて押し出しています。
よって、皿から容器1までの高さが高いほど、水が落ちる力が強くなって、吹き出す高さも高くなります。

また、皿と容器1、容器1と2を繋ぐストローを太くして、吹き出し口のストローを細くすると、水が出る勢いが強くなります。
水を撒くときにホースの口を狭くすると、水の勢いが強くなるのと同じ原理です。

太いストローはタピオカやスムージー用として100円ショップに売っています。
細いストローは、小さい子用のストローが適しています。

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