大気圧の大きさはどれくらいなのか?

押しつぶす空気のパワー

「空気のように軽い」というのは、軽さをアピールするためによく使われるフレーズです。
確かに、中に空気を詰めた風船はとても軽く、空気たっぷりの羽毛布団はふわふわです。
当然ながら全く重さが無いというわけではなく、我々の感覚でも感じることが出来る程度の重さがあります。

空気の重さ

空気の重さは、湿度0%・気温15度・海抜1mの条件(平均条件)下では、1立方メートルで約1.29kgが平均とされています。

水が1立方メートルで1トンあることを考えると空気はとても軽いといえますが、空気は地表面から高空まで満ちあふれて積み重なっています。
その重さは、常にあらゆるものへとのしかかっています。

空気のパワーの定義

大気圏

星の表面で気体が覆っている範囲を「大気圏」といいます。
大気という物は上に行くほど薄くなっていくので、大気圏と宇宙空間は明確に分かれているわけではありません。

一応、地球の大気圏は地上から500km前後とされています。
大気圏の範囲の定義はいくつもあり、航空関係では地上から100kmまでの範囲が大気圏となっています。
飛行機が飛ぶのは高度6~20kmの範囲です。

大気圏内で空気が物を押す力は「大気圧」と呼ばれています。
似た言葉に「空気圧」がありますが、空気圧はタイヤやなどの「入れ物」の中に入っている空気の圧力で、大気圧は自然の中で空気が押す力というニュアンスに近い物があります。

空気が薄い高空に行けば行くほど大気圧は減少する他、風が吹くと下がり、湿度が上がる(水蒸気の量が増えて空気が重くなる)と上がります。
色々な条件で変動する気圧ですが、一般的には標高0m、気温15度で、1013hPa(ヘクトパスカル)が標準的な大気圧とされています。

1平方mにつき10t

大気圧重さ

圧力で書かれてもよくわかりませんが、この1080hPaというのは相当な力です。
重さに例えると、1平方mあたりで10トン(小型乗用車6~7台分、あるいは特大サイズのオスのアフリカゾウ1頭)の重さになります。
畳一畳(約1.6平方m)なら16トン、1平方cmあたりにすると約1kgです。

大気圧は上からだけでなく、上下左右前後のあらゆるところからかかっているので、「押す力」は全方向からのしかかってきます。
身長175cm、体重65kgの人なら体の表面積は約1.75~1.8平方mで、常に全身が20トン近い圧力で押されていることになります。

風船の内側も1平方mにつき10トン

風船

1平方mにつき16トンもの重さがかかっているのに、大抵の物体はつぶれることはありません。
これは中に空気が入っていれば内側からも大気圧がかかるためです。

同じ温度、高度の空気入っているのは、「大気圧によって押しつぶされた空気」です。
そのため、常に外に広がろうとして圧力をかけることで、外の大気圧と拮抗して膨らんだままの状態を保っています。

もし中身が真空であったり、密度が低くて押す力が小さい空気なら、膨らむことは出来ずに押しつぶされてしぼんでしまいます。
逆に内側の空気圧が外側の大気圧よりもはるかに高ければ、風船は内側の空気が解放されようとする力によって、内部から破裂します。

大気圧の身近な利用法

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ものすごい力であるにもかかわらず普段は全く意識しない大気圧ですが、古くから身近なところで使用されて続けています。

代表は井戸から水をくむ手押しポンプで、大気圧によって液体をくみ上げる仕組みです。
ストローも同様で、口の中の空気を吸って気圧を下げることにより、大気圧で

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吸盤も大気圧を利用した物です。
吸盤を押し付けると中の空気が押し出され、内部は真空に近い状態になります。
外からの大気圧が押し付ける力によって、吸盤は押し付けられて離れなくなるという仕組みです。

1平方cmでも1kg以上の力が働くので、小さな吸盤でも中に空気が入り込まなければ、引っ張っても簡単には取れなくなります。

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