電気と磁力の深いカンケイ

見えない力が文明を支える

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電気と磁力はまさにコインの裏表にあるような存在で、電気が流れるところには必ず磁気の存在があります。
人類がこのことに気付いたため、文明はすさまじい勢いで発展しました。

電力も磁力も見ることはできませんが、両方とも「力」なので、実際に物を動かしたり影響を与えることができます。
今もあちこちで動いている電化製品は、それを体現している存在です。

電磁気学の歴史

電気と磁気が起こす「電磁的現象」を考える学問分野は、電磁気学と呼ばれています。
静電気が髪の毛を立たせたり、磁石が鉄を引き寄せたりする現象も、電磁気学で研究する対象です。

昔は単純な学問だけの世界でしたが、現代では私たちの生活のほとんど全てを支えているといっても過言ではないほど、この上なく重要な分野になっています。

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摩擦で起こる静電気については紀元前から知られていましたが、本格的に研究が始まるのは近世になってからです。
更に、電気と磁気の間に関係があることが分かったのは、19世紀に入ってからでした。

1820年、デンマークの科学者ハンス・エルステッドは「電流を流せばその周囲に磁場が生じる」ことを発見しました。
この発見はフランスの科学者アンペールによって詳細に調べられた上で、同じフランスのビオとサバールによって定式化されて確固たる理論にまで発展しました。

NPG 269,Michael Faraday,by Thomas Phillips

電気と磁気の関係を、実際の生活に使える物まで発展させたのが、イギリスの科学者マイケル・ファラデーです。
発電機の電磁誘導、物体が磁力に反発する反磁性、電気分解の法則など、現在の電気関係のテクノロジーの基礎理論は、ほとんど全てがファラデーによって見出されました。

電磁誘導とローレンツ力

電磁気学は奥が深いので、とても簡単には説明できません。
ここでは基本である「アンペールの法則」「電磁誘導」「ローレンツ力」の部分を見ていきましょう。

アンペールの法則

アンペールの法則

電流が物体の中を流れるとその周囲には磁場が生じます。
電線の周囲から携帯電話の集積回路まで、電流がある場所の周囲には大なり小なり、磁力が生じているということです。

電流の向きと磁場の向きは必ず決まっており、図のようになっています。
磁力の向きは磁石のN極が向く方向です。
右手の親指を立てて電流の向きとしたとき、磁力線の向きは握った他の指に沿っているので、「右手の法則」とも呼ばれます。

磁力線

電線をコイル状にして電流を流せば、それぞれの磁場の向きが一致し、コイルの端が極になった磁石が出来上がります。
これを利用した電磁石は、電気回路からリニアモーターカーまで、生活には欠かせないものです。

電磁誘導

アンペールの法則とは逆に、磁界の中で電気を通す物が動けば、そこに電流が流れます
これが電磁誘導で、流れる電流は「誘導電流」と呼ばれます。

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物が動く向きと磁力線の向きによって、どの方向に電流が流れるかが決まっており、この法則は「フレミング右手の法則」と呼ばれています。

この原理を利用して電気を生み出すのが発電機です。
火力発電でも原子力発電でも、水を沸かして蒸気を作り、その力で電線を巻いたコイルを磁石の近くで回転させ、電力を生み出している点が同じです。

ローレンツ力

磁石の近くで電線に電流を流せば、電線に生じた磁力と磁石の磁力が反発して、電線が動こうとします。
このときの力が「ローレンツ力」です。

モーターはローレンツ力を利用して回転を生じさせる道具です。
発電機の基本的な仕組みはモーターと同じで、発電機側に電気を流せばモーターのように動きだします。
電磁誘導の逆バージョンといったところです。

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磁石の向きと電流の向きによって、どの方向にローレンツ力が生じて電線が動くのかが決まっています。
このときの法則は「フレミング左手の法則」と呼ばれています。

これらの「法則」は一見難しそうに見えますが、簡単な方法で体感することが可能です。
電池と磁石、そして銅線を用意して、実際にやってみましょう。

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