見えない磁力線の姿を暴く

そもそも「磁力線」とは?

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今回の実験では実験では「磁界」「磁力線」という言葉が多く出てきます。
ですが、磁力自体は目に見えないので、いまひとつピンときません。

そこで、磁力線を見えるようにしてみましょう。
磁力に沿って並ぶような物があれば、磁力線の形もよく見えるようになります。
方法はいくつかありますが、中でも一番ポピュラーで簡単な物が、砂鉄を使うやり方です。

砂鉄について

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砂鉄はその名の通り、鉄の砂です。
ただの鉄ではなく、磁性を帯びた「磁鉄鉱」という酸化鉄の一種が主成分となっており、磁石に良くひっつくのが特徴です。

砂鉄は通販で10gにつき80~100円で売っています。
石にも多く含まれているので、砂場などで磁石を使って集めることも出来ます。
集めるときは磁石をビニール袋などに包んでおかないと、砂鉄が磁石から取れなくなります。

用意する物

・磁石 ・砂鉄
・透明な下敷き ・白い紙 ・段ボール

1.紙を準備する

セット

白い紙を下に置き、段ボールを切った物をスペーサーとして間に入れ、下敷きを上に乗せます。
白い紙と下敷きの間に、磁石を置きます。

2.砂鉄をばらまく

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下敷きの上に、砂鉄を撒いていきます。
全体に均一に広がるように撒いていくのが、きれいな図を作るためのコツです。
下敷きを軽く叩いて振動させると、砂鉄が磁力線に沿って集まり、磁力線が見えるようになります。

磁力線の姿

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これは電磁石で作った磁力線の写真です。
見てわかるように、磁力線は磁石のS極とN極を繋ぐようにして並んでいます。
向きという物は本来はありませんが、電磁気学では「S極から出てN極に吸い込まれる」のが磁力線の向きであると定義されています。

ちなみに磁石が強力過ぎると、極の近くにある砂鉄が全部ひっついてしまって磁力線が見えにくくなるので、ほどほどの強さの物を使うことをお勧めします。

二つの磁石を近づけたときの磁力線

単一の磁石から生じる磁力線の形は上記のようになりますが、二つを合わせた場合はどうなるのかを実験してみました。

磁石の違う極を近づけたとき

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二つの磁石をひっつく向きにして近づけた場合、それぞれの磁力線は互いに連結するような形になります。

同じ極を近づけたとき

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磁石同士を反発する向きにして近づけた場合、それぞれの磁力線は互いにはね返るような形になります。

星の磁力線

地球が北と南を極にした巨大な磁石になっていることは良く知られています。
方位磁石(コンパス)はこれを利用して、北の方角を知る道具です。

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地球以外の星も磁気を帯びており、この影響が及ぶ範囲を磁気圏といいます。
オーロラは太陽から放出される粒子が星の磁力に引き寄せられ、大気にぶつかって発光する現象です。
したがって、オーロラは星の磁力線に沿ってできるようになっています。

地球以外にも、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星でもオーロラが確認されています。
水星は強い磁場を持っていますが、大気が無いのでオーロラは出来ません。

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太陽も強力な磁気を持っており、磁力線に沿って超高温の大気が炎のように伸びる「プロミネンス」という現象が生じます。
プロミネンスは秒速600~1000kmものスピードで何千kmにも伸び、数日から数か月間も続くことがあります。

下敷きの上で作った「見える磁力線」の、超々巨大バージョンというわけです。

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