飛行機を「発射」して飛ばす技術
紙飛行機を遠くまで飛ばす方法
飛行機は翼で飛んでいますが、具体的にみてどうやって飛んでいるのでしょうか?
飛行機本体は科学の結晶ともいえる存在ですが、それを地上から空に飛ばす技術にも、長い歴史と工夫が秘められています。
飛行機はどうやって飛ぶのか
飛行機がなぜ飛ぶのかといえば、それはすなわち「前に進んでいるから」です。
前に進むときに受ける空気の流れを、翼で制御することにより、自分自身が浮く力へと変えています。
飛行機はエンジンで前に進み、受ける空気の流れによって空を飛んでいるということです。
スピードが落ちれば十分な空気の流れがなくなり、飛行機は墜落してしまいます。
スピード不足で浮いていられなくなった状態のことは「失速」と呼ばれています。
飛行機が離陸するには、まずは滑走路を走ってスピードを上げる必要があります。
安全性を考えると、飛行機の燃料や荷物にもよりますが、プロペラ機なら1km、ジャンボジェットなら2.5kmの滑走路が必要とされています。
グライダーの場合は、別の飛行機やウインチで引っ張ってやることで滑走します。
カタパルトとは?
陸上から飛行機が飛ぶときは、普通に滑走路を使えば大丈夫です。
しかし、船の上、つまり航空母艦の上からの場合はそうはいきません。
昔の軽い飛行機ならともかく、次第にジェット機などが登場してくると、空母から飛ばすのは難しくなりました。
そこで考え出されたのが「カタパルト」です。
カタパルトの名前は、大きな岩を飛ばして敵を攻撃する中世の兵器(投石機)に由来します。
空母のカタパルトは、岩を飛ばす代わりに飛行機を発射する機械です。
現在の空母は最大の物で全長が333m、発進に使える部分はわずか99mです。
プロペラ機でも飛ばせない距離ですが、カタパルトを使えば重さ30t程度の飛行機を、2.5秒で時速296kmにまで加速して発進させられます。
ただし、どんな飛行機でも飛ばせられるわけではなく、衝撃に耐えて急な加速で離陸できるように、専用に設計された機体でなくてはいけません。
紙飛行機もカタパルトで発射
紙飛行機や模型飛行機はエンジンが付いていないので、飛ばすにはグライダーと同じく、何かの方法で「発射」してやらなくてはいけません。
基本的な方法は、人が手で持って投げてやることです。
これも立派なカタパルトの一種といえます。
もう一つポピュラーな方法はゴムで発射することです。
こちらはパチンコのような道具を使い、飛行機にゴムをひっかけて発射します。
手で投げるよりも安定して、はるかに遠い距離まで飛ばせます。
何故ゴムで飛ばす方がよく飛ぶのか?
考えてみると、練習次第で時速150kmの剛速球を投げたり、槍を100m近い距離まで投げたりできる人間の腕よりも、たかがゴムバンドの方が紙飛行機を遠くまで飛ばせるというのも、すこし妙に思えるかもしれません。
これは、人間の全ての関節は「円」を描く動きしかできないことが原因です。
人間の腕がボールや槍を投げるのは円を描く動きで遠心力を利用しているのにに対し、飛行機を発射するのに必要なのは、「まっすぐ」な加速です。
滑走路でも空母のカタパルトでも、「まっすぐな」動きで飛行機を加速させしています。
まっすぐに物を投げようとしても、人間の腕が出来る動作では、本当に直線の運動を与えられる距離は意外と短いのです。
ボールや槍は重たくて安定性が良いので、手を思いきり後ろに引いて勢いを付け、まっすぐな動きを延長して投げることが出来ます。
しかし、紙飛行機はとても軽くてバランスを崩しやすく、そのような投げ方をすると上手く飛んでくれません。
その分、ゴム紐は人間の腕で投げるよりも、長い距離のまっすぐな運動、適度な力を紙飛行機に与えらるので、よく飛ばせるというわけです。
より「遠く」「正確に」発射するには
パチンコのようにゴム紐を使えばよく飛ばせるとはいえ、それにも限界はあります。
手に持って構える以上、腕の長さよりもゴムを長く引っ張ることはできません。
より遠くまで紙飛行機を飛ばすために、長いゴムを使って安定して状態から発射が可能なカタパルトを作ってみましょう。