色々な物で染めてみよう:葉・茎・根編

色がないように見えても……

植物の中で一番鮮やかなのは花や果実ですが、目立つ部分ではなく、茎や葉、皮などの目立たない部分の方が多く使われます。
鮮やかな色など出せなさそうに見えますが、これらの部分こそが花や実に色を付ける色素の供給源です。

花を使っても思ったような色が付かない場合は、木の幹や根を使ってみるのも手です。

赤しそ

シソ

染めた直後は良く色がついているように思えますが、水洗いして乾かしてみると、それほどでもなくてがっかりすることがあります。
植物性の繊維は動物性の物よりも植物由来の色素が付きにくいので、絹などの動物性繊維を使う方が染まりやすいでしょう。

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あるいは、シソの量をもっと増やして乾かし、なるべく濃い液を使って何回も染めると濃い色が作れます。
この実験では、乾燥赤しそを使った「ゆかり」のふりかけを利用しています。
扱いやすく、安くてたくさん手に入るので、生の葉を使うよりも簡単にできます。

ウコン

ウコン

ウコンはショウガ科の植物で、根に含まれているクルクミンという物質が黄色い染料の元になります。
カレーに使われているのは苦みが無くて中がオレンジ色の「春ウコン(ターメリック)」で、薬に使われているのは苦くて中が黄色い「秋ウコン(ワイルドターメリック)」です。

春ウコンの方が色が濃いので、秋ウコンで染めた場合よりも色が強くなります。

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ウコン染めによる色はかなり安定しており、なかなか落ちにくい性質があります。
この実験ではそれほど色が変わりませんが、媒染によっても色が変化します。
特に酸やアルカリで処理する場合は色がかなり大きく変化するので、試してみても面白いでしょう。

アカネ

アカネ

アカネはアカネ科のつる植物で、日本では道端でもよく見かけることが出来ます。
根は太いひげのような形でオレンジ色をしており、乾燥させると赤くなることから「赤根」の名前が付きました。
根を煮出してとれるアリザリンという赤い色素が染料として使われています。

日本では奈良時代以前から使われており、アカネで染めたようなやや沈んだ色が「茜色」と呼ばれています。
もっと明るい「緋色」もアカネで染めた色です。

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西洋では同属のセイヨウアカネがあり、現在ではこちらが多く使われています。

昆虫記で有名なジャン・アンリ・ファーブルはアカネの色素を効率よく抽出する方法で特許を取り、勲章を授与されています。
しかし、同時期にドイツで人工合成する方法が見つかったので、大規模に使われることは無いままに終わりました。

ベニバナ

ベニバナ

ベニバナはキク科の植物で、古名を末摘花(すえつみばな)、紅藍(べにあい)、久礼奈為(くれない)とも呼ばれます。
原産はエジプト付近で、シルクロードを伝って広がり、日本には飛鳥時代ごろに入ってきました。

見た目は黄色で、どこが「紅」花なのかと疑問に思ってしまいます。
普通に花を使って染めても黄色しか出てきません。

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赤い色で染めるには、まず酸性の液で黄色い色素を全部抽出します。
黄色を抜いた花をアルカリ性の液に浸し、別の成分を抽出します。
アルカリ性の抽出液を酸で中和すると、ようやく赤い色が出てきます。
(撮影者はどうやっても再現できませんでした……)

昔は藍の青色、紫根の紫と共に重要な染料として扱われ、女性が塗る紅の原料にもなっていました。
これだけの手間をかけて取れる紅の色素は花の重量の0.3%でしかなく、同量の金と同価値とされるほど高価な物でした。

ログウッド

ログウッド

メキシコから南米にかけての地域が原産の、マメ科の木からとれる染料です。
ブラッドウッドとも呼ばれ、日本語ではオオミノキと呼ばれています。

この木から取れる色素の主な成分はヘマトキシリンという物質で、強い色が付く割には安全なので、着色料として広く使われています。
原産する地域に棲んでいる人々は、樹液を染料として使っていたようです。

アルカリと酸を使った場合

草木染めは媒染に使う金属の種類だけでなく、酸やアルカリによっても色が変化します。
リトマスゴケというコケから使った色素を使った「リトマス試験紙」と同じです。
身近な例では、紫キャベツのサラダに酢のドレッシングをかけると赤くなるという物があります。

ログウッドの色素は酸やアルカリによって色が変化しやすい性質があるので、試しにやってみました。

酸性(塩酸を薄めた物を使用)

酸

家でやる場合は、酢を薄めた液を使ってみましょう。

アルカリ(水酸化ナトリウムを薄めた物を使用)

アルカリ

家でやる場合は、重曹や石鹸を溶かした液を使うのが良いでしょう。

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